季節の移ろいを楽しむ、設えの変化が紡ぐ心地よい空間の物語
季節の移ろいを五感で感じ、空間に取り入れることは、日々の暮らしに豊かな奥行きをもたらします。今回ご紹介するのは、季節の設えを丁寧に紡ぐことで生まれる、心地よい安らぎ空間の物語です。
写真に写し出されているのは、特定の季節に特化した空間というよりも、季節の移ろいをさりげなく取り入れている様子がうかがえる空間です。そこには、オーナー様が四季折々の変化を大切にし、空間を通じてそれを享受されている様子が垣間見えます。
季節を映し出す空間づくりのこだわり
この空間のオーナー様は、一年を通じて大きな模様替えをするわけではなく、季節ごとにファブリックや小物、植物などを少しずつ入れ替えることで、空間に季節の息吹を吹き込んでいると仰います。例えば、春には桜色のクッションカバーや軽やかなリネンのカーテンを、夏にはガラスの器や風鈴、涼やかなブルー系の小物を取り入れるといった具合です。秋には温かみのあるオレンジやブラウン系のテキスタイル、冬には毛足の長いラグや暖色系の照明などを加えることで、室内にいながらにして外の季節感を深く感じられるように工夫されています。
これらの設え選びには、単に季節感を表現するだけでなく、触り心地や見た目の清涼感、暖かさといった、五感への響きが重視されています。特にテキスタイルは、面積が大きいため空間の印象を大きく左右する要素であり、素材感や色味の選定には時間をかけているとのことです。例えば、夏用のラグは竹や麻といった自然素材を選ぶことで、視覚だけでなく足元からも涼しさを感じられるように配慮されています。
小さな変化がもたらす心の安らぎ
季節ごとの設え変更は、単なる模様替え以上の意味を持つとオーナー様は語ります。それは、来るべき季節を心待ちにしたり、過ぎゆく季節を慈しんだりする時間であり、自身の心と向き合う穏やかな機会でもあるのです。
例えば、新しい季節の準備としてクッションカバーを付け替えたり、テーブルクロスを変えたりする時間は、手仕事に集中することで心が落ち着き、リフレッシュできる大切なひとときだと言います。また、季節の枝物や花を飾ることで、その成長や変化を日々観察する楽しみも生まれます。これは、都市部に暮らしていると希薄になりがちな、自然との繋がりを自宅の中で感じられる貴重な体験です。
これらの小さな変化の積み重ねが、空間全体に活気を与え、そこに暮らす人々の気持ちにもポジティブな影響を与えている様子が伝わってきます。新しい設えに囲まれることで気分が変わり、日々のマンネリを防ぎ、暮らしに新たな刺激と安らぎをもたらしているのです。
設え変更における工夫と楽しみ
季節の設え変更には、少なからず手間がかかるものです。オーナー様は、すべてのものを一度に変えるのではなく、少しずつ、楽しみながら行うことを心がけていると話します。例えば、まずは目につく場所のファブリックから変えてみる、次に小さなコーナーの小物を入れ替えてみる、というように、段階的に行うことで負担感を減らしているそうです。
また、季節外れのアイテムの収納場所を工夫することも重要なポイントです。頻繁に使う季節のアイテムは、取り出しやすい場所に収納することで、億劫にならずに模様替えに取り組めるようになります。
この空間には、旅先で見つけた季節のオブジェや、大切な人から贈られた季節の花を模した飾りなど、一つ一つのアイテムにまつわるエピソードがあると言います。単なるモノとしてではなく、それぞれのアイテムが持つ物語や思い出も一緒に飾ることで、空間がよりパーソナルで心満たされる場所になっているのです。
まとめにかえて
季節の移ろいを空間に取り入れることは、日々の暮らしに彩りと安らぎをもたらす素敵な方法です。それは、高価な家具を揃えることではなく、身近なアイテムや植物、ファブリックなどを少し変えることから始めることができます。
皆様の心地よい空間には、どのような季節の設えが施されていますか。また、季節の設えにまつわるエピソードや工夫があれば、ぜひ共有していただけますと幸いです。暮らしの中で季節を大切にする心が、より豊かな安らぎの空間を育んでいくことでしょう。